2009年11月4日水曜日

こころ

#少しシュールな小説かも?

私は20代の前半に、40歳になったら寿命がきて死ぬんだと考えていました。まあ、この頃は太宰治などの小説が好きで読んでいましたから、多少なりとでも影響を受けていたと思います。

でも、そのお陰で40歳までの短い命と、他人を気にすることなく好きな事をしていました。日々が楽しく、大きな病気もすることはなく、人生の苦しみなどを考えることなく過ごしていました。

ところが、40歳を過ぎると目標が無くなったのです。
無くなると言うよりは亡くなるでしょうか。

今まで人生に対して迷走するなど考えたことがなかったのですが、自分の気持ちがスーッとどこかに消えてしまったのです。しかも、その時はそれに気がつくことなく過ごしていましたから、とにかく忙しくすることに情熱を入れて、我を忘れることで、どこかへ逃げていたのでしょう。

不思議なもので、そんな状態になると多くのものがスーッと、私から離れていきます。

そして気がつくと全てのものが無くなって、いや亡くなって、その影に私もスーッと引きづり込まれそうになります。

何と申しましょうか。自分の自信も気力も何処かへスーッと引っぱられて、気がつくと手も足も口も目も耳もなくなっているではありませんか。

目がなくなっては泣けません。口がなくなっては叫ぶことができません。足がなければ走り出すことができません。手がなければ触ることもできません。耳がなければ人の声を聞くことができません。

生きているのが不思議で、こんな私はどこへ向かえば良いのかさえも分からない。真っ暗な闇です。

そんな時、あなたに出会いました。
あなたは心で語りかけてきました。

見えてなくても見えた気持ちになり、
そして風や波の音までが聞こえ始めました。

私はあなたを追いかけるために、一生懸命に努力をしました。
そしてその努力を形に残したい。
多くのことを考え、考えられることは全て行って参りました。

気がつくとスーッと人が私の前に現れていました。その人は、自分の心を私にぶつけてきました。いくつもいくつも、私に心を投げ込み、私はその心に埋まらない為に投げ返しました。

ある時、投げ込まれた心は私の心と同じ色と形をしているのに気づきました。その人も私と同じ悩みを持っている。そう思いました。

だから、次からは優しく返すことにしました。

暫くすると人が増えていました。やはり同じ様に、心を投げ込んでくるのです。それは、いくつもいくつも投げ込まれ、私は一生懸命に優しく返しました。

ふと、投げ返していると、私には手があることが分かりました。
どこかでなくしたはずの手がありました。

つづく。

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