2010年1月15日金曜日

ラムサール条約湿地

一年前は野鳥に興味がなかったです。なのにこの一年ですっかり野鳥の虜になってしまいました。どうしてだろうと考えてみると、通勤路が変わったことが原因ですね。

実は一昨年の夏に通勤路が変わりました。冬になると通勤路に面した水田にコハクチョウが飛来していました。野鳥ですから肖像権はありません。そこでブログネタになると、使わずに保管していた望遠レンズを引っ張り出して、私の野鳥撮影が始まりました。

近くで見るコハクチョウはとても可愛く、飛ぶ時はダイナミックでした。羽の音も大きい。そして空を自由に飛び回る。私はすっかり魅了してしまいました。

それから私は休みの日にはコハクチョウの撮影へ出かけました。行くと必ずそこにはコハクチョウが居ました。これは偶然でしたね。私は朝が苦手でしたので、夕方に撮影に出かけていましたが、運良くその場所はコハクチョウの餌場兼寝床だったのです。だから、夕方行くと寝床にしているハクチョウが帰ってくるのと、そこを餌場だけにしているハクチョウが飛んでしまうところと、その両方を撮影できました。そのためコハクチョウの知識がなくても、かなり撮影を楽しむことができました。

ある日、タンクローリーに跳ねられるコハクチョウの幼鳥を目撃して、野鳥の美しさと自由な翼だけではない、儚さも紙一重にあることに思い知らされました。そして、私は野鳥について本を読むようになりました。

図書館へ行き本を読み始めると、すっかり先人たちの書いた本に感動です。野鳥は自然の環境に適合しながら、食べる、寝る、育てるを命がけでしている。自由な飛行は危険回避と食べるためのモノ。季節が変わることで渡らないといけない野鳥も多く存在すること。コハクチョウもそうです。そして野鳥の寿命は短い。

私はもっと小学生の時に学習しておけば良かったような内容にドップリとはまりました。

撮影を続けると季節に順応した野鳥の力にビックリです。多くは春先に卵を産み、雛を育て始めます。日に日に大きくなる雛には動物性タンパク質が必要で、虫などが増え始める季節が適切なのです。夏ぐらいには巣立ち。幼鳥は自力で食事をしないといけません。

また、肉食である猛禽類はそんな頑張っている野鳥を捕まえて食べたりします。常に食べる食べられるの自然環境。優雅なようで実は厳しい自然との戦いです。生き残るためにはテリトリーも確保しないといけません。

そんな野鳥の世界がどんどん目に飛び込んできました。

このきっかけを作った通勤路。実はその場所はラムサール条約湿地に指定された場所でした。中海や宍道湖を中心とした全国でも有数な水鳥たちの生息域です。ラムサール条約湿地という言葉は知っていても、こんなに身近にその意味を感じる機会はありませんでした。

野鳥は一生懸命に生きています。子育てもしています。長い年月をかけて自然環境に適合して生き残っています。しかも自然環境のバランスが崩れると生きていくことが難しくなるような生き方です。

自然環境を保つことは野鳥の生命を守ることにつながります。野鳥などの命を大切にする心を育む。それは私たち人間たちの命の循環を考える機会でもあると思えます。

山陰のラムサール条約湿地
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・中海(国指定中海鳥獣保護区/中海特別保護地区)
大規模コハクチョウ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ渡来地
鳥取県(米子市/境港市)
島根県(松江市/安来市/東出雲町)
・宍道湖(国指定宍道湖鳥獣保護区/宍道湖特別保護地区)
大規模マガン、スズガモ渡来地
島根県(松江市/出雲市/斐川町)

撮影:Canon EOS 50D EF300mm F2.8L USM

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